ピアノそれぞれの音の多彩さ

子供のころ、ポップスでよく使われていたシンセサイザーの音が、幻想的で好きでした。

そして、小学校3年生の時に、親にせがんで中古の安価なシンセサイザーを買ってもらい、独学でキーボードを始めました。

ピアノを演奏する時も、生のピアノではなくシンセサイザーに入っていたピアノの音を選択して演奏していました。

ピアノの本当の音や楽器の構造を、まったく知らなかったのです。

小学校高学年になり、遅すぎると言われつつも、ピアノ教室に通いました。

そこではじめて生のピアノに触り、シンセサイザーとはまったく違うと感じました。

まず最初に、鍵盤の重さが違います。最近のキーボードは、アコースティック・ピアノのタッチに近づけるように作ってあるものもありますが、基本的にはまるで違う軽いタッチです。

そしてなにより、音がまったく違いました。

シンセサイザーにもよるのですが、たいがいのシンセサイザーや電子ピアノの音は、アコースティック・ピアノの音が録音してあり、それを再生するという方式です。

音色の種類も、強い所から弱い所までで7つほどしか変化せず、その7つの間は、わずかな打鍵の強さの違いには反応できずに同じ音が鳴ってしまいます。

また、指を落とすスピードなどによる音色の変化となると、まったく表現できません。

なにより、実際に弦をハンマーで打ち、それがピアノのボディで共鳴して鳴る、ペダルの加減でソステヌートを微妙にコントロールするといった事は、シンセサイザーや電子ピアノには望むべくもない事でした。

大人になってから、ロックやポップスのバンドでピアノを演奏する機会がありましたが、製品になるレコーディングなのに、アコースティック・ピアノをシンセサイザーに入っているピアノや電子ピアノで代用しようとする人がいたのには驚きました。

やはり、その楽器をやっていないと、そういう事は分からないのかも知れません。

そして、色々なピアノを演奏するようになって、驚いた事があります。

メーカーもそうなのですが、楽器によってピアノは驚くほど違うのです。

私が弾く機会の多かったピアノは、ヤマハか河合、良い所に行くとスタンウェイ、稀にコンサートホールでベーゼンドルファーに触ることが出来る、その程度でした。

ところが、それ以外にもピアノはたくさんあって、まったく違ったのです。

ショパンは、多彩な音を使い分けたい時はプレイエルが必要だと言っていたことがありますが、古いプレイエルを弾いた時に、その意味がはじめてわかりました。

どのように弾いても似たような音が出るという事はなく、タッチの差で音色が本当に変わってしまうのです。

うまく演奏しないと音がばらばらになってとても下手に聴こえるのですが、なんとか制御できると、色々な色を表現できるのです。

アコースティック・ピアノは、実に多彩な音色を使い分けることが出来、電子ピアノで簡単に代用させようと考えるのはやめておいた方がいい楽器です。

サックス習いたい